セルフビルドでタイニーハウスを作り、広いお庭で愛犬をのびのび走り回らせてあげられる・・・そんな生活を夢見て始まった土地探しの旅。
第11回目となる今回は、2021年の年始から続いていた緊急事態宣言が3月半ばに明けたあと、4月頭に山梨県の移住先として有名な北杜市の別荘地を見に行った時のことを振り返ります。
【第1回から見る場合はこちら】
売り土地データ(1)
土地の広さ:483㎡
地勢:傾斜地
値段:150万円
現地雑感
山梨県北杜市といえば移住先として非常に有名な場所らしく、また一部界隈で「Bライフ」と呼ばれる小屋暮らしを提唱された高村友也氏が一説には北杜市在住ではないかと言われていました。
ちなみに筆者にとって山梨県といえば、少し前に紹介した大月市の売地付近まではスクーターで行ったことはあるものの、笹子トンネル(笹子峠)より向こう側ともなると青春18きっぷで旅するときに電車で通過するだけの場所であり、しかも中央線~甲府駅乗換~身延線の経路(またはその逆順)でしか通過したことが無いため、甲府駅よりも西(北西)に位置する北杜市は人生初の訪問地でした。
【大月市の売地を訪問した時の記事】
今回の売地は「場所をお伝えするのでご自身で自由に見に行ってください」のパターン。先に物件のアピールポイントをお伝えしておくと、山梨の別荘地にしては珍しく上水道だけでなく公共下水道も接道地下に本管が入っているため100万円近くかけて浄化槽を設置する必要が無いことでしょうか。とはいえ仮に浄化槽を入れねばならない場合でも設置費用のうち北杜市の浄化槽補助金制度を使えば、5人槽の場合30万円ちょっとの補助金を受けられる場合もあるようですが・・・?
そしてもう1つのアピールポイントとして、実は仲介物件ではなく売主物件とのことから仲介手数料が不要であり、売値についても後ほど事務所を訪問した折に「(この物件は150万円だが売主物件なので)仮にうちが100万円でいいと言えば100万円で販売できる」と仰ってはいました。(※100万円で確実に購入できる保証をする発言ではないことに注意)
そんな現地の様子がこちら。
写真を撮った向きの関係で平坦に近い緩傾斜のように見えるかも知れませんが、実際にはそこそこの傾斜地です。北側隣地(写真右奥のスクーターを止めているあたり)まではほぼ平坦地でしたが、この売地から南側(写真左側)にかけては完全に北傾斜となっています。
訪問した時期は4月頭でしたが、この売地付近は標高が700mちょっとある場所だったためスクーターの更に奥では桜がちょうど見ごろとなっている反面、売地内に生えている木はまだ新芽をだしておらず鬱蒼とした森の雰囲気は出ていませんでした。
同じころ、東京では桜は散って葉桜となっており落葉樹も新芽をグングン出していましたので、こんなにも違うものかと驚いたものです。
スマホのアプリでこの売地の傾斜具合を測定してみたところ、だいたい18度の傾斜具合となっていました。立って歩けないようなことはありませんが、セルフビルドでの小屋建築を視野に入れている個人的にはそれなりの傾斜具合だと感じます。
現地から南側を眺めた様子がこちら。1区画挟んだ先に別荘と思しき建物が建っていましたが、東西に長い売地でしたので建てる場所をずらせば採光面でも問題は無いでしょう。
一応、建物が建っている区画のさらに向こう(南)は県だか自治体だかの所有地となっているようで「建物が建つことは無い」とのことでしたが、それ以前にこの多数の落葉樹が一斉に葉をつけた後どれほど採光を取れるのかは正直未知数ではあります。
売地の真ん中付近から東側を眺めた様子。こちらの方が傾斜角約18度だと理解してもらいやすいでしょうか。
そして敷地内にこれだけ多数の木が生えているため、やはり落葉期以外は朝日を拝め無さそうな気がします。
最後に北東向きの様子を1枚。北側の隣地にも建物が建っており、こちらは別荘なのか定住なのかちょっと判断しかねる感じではありました。
売主物件なので仲介手数料は必要なく、売値についても上手く交渉できれば大幅な値下げも期待できるうえ、上水道だけでなく公共下水道も引込可能な売地ということで条件的にかなり心が惹かれました。
しかしながらやはり18度も傾斜があると擁壁設置または深基礎/杭基礎の選択が必須で多額の出費が見込まれること、そして真冬の寒さと梅雨時~梅雨明けあたりの湿気が多く葉っぱで日の光が遮られるであろう時期の様子が全く想像できなかったため、この時点では即決せずに一旦保留することにしました。
売り土地データ(2)
土地の広さ:778㎡
地勢:平坦(更地)
値段:200万円
現地雑感
仲介業者の事務所に戻った後、社長から「実は最近預かったばかりの物件があって、まだネットにも出していないものが近くにあるんだけど見に行きますか?」とお誘いいただいたため、急遽見学に行ったのがこちらの物件です。
先ほどの売地は敷地全域が傾斜地でしたが、こちらはうって変わって全平坦地かつ200坪オーバーで坪単価は8500円ほど。条件的にはこちらの方が優れているように見えます。
周囲を見渡すと建物が数件ありますが、その全てが別荘(だったりもう長年誰も来ていない廃屋予備軍)ですので、非常に静かな暮らしをされたい方にとっては理想的な環境でしょう。
とはいえこの売地にも個人的にネックだと感じる部分があり、1つはその売値の高さでした。もちろん全体の広さ・土地の形状・坪単価を考えれば掘り出し物と称しても差し支えないレベルだとは思いましたが、「売主から土地を預かったばかり」ということは即ち価格交渉による減額はほぼ見込めないわけで、土地にかける予算を見直したばかりの筆者にはまだまだお高く感じる価格ではあります。
そして個人的にはもう1つ大きなネックが存在し・・・
このエリアは上水道が通っていないため、この別荘地用の井戸を掘って各戸に分配しているだかなんだかの理由により、その井戸水を利用する場合には権利金が別途33万円必要とのことでした。
一応水質検査はたまに行われているようでしたが、これまで井戸水を生活用水として使った経験が無い身としては生活用水全てを井戸水で賄う心理的ハードルがなんとも高く、また井戸の権利金として公共上水道の加入負担金と同額を払うくらいなら水質が保証されている上水道を引きたい・・・と思ってしまったことをここに白状しておきます。
現地訪問を終えて
2件目の物件はその後ウェブ上に販売ページが出てくることも無く、社長からも続報を一切聞いていないので売れてしまったのか否かは分かりません。
ただ、やはりずっと公共上水道で育ってきた身としては、飲用や料理に使う水は水質検査的な意味で綺麗な水を使いたい(※山の湧き水などが綺麗ではないとは言っていない)ですので、仮に売れていなかったとしても積極的には選ばなかったとは思います。
そんな感じで3月半ばに緊急事態宣言が明けるのを待ってようやく出かけた土地探しでしたが、実はこのあと4月末から6月半ばまで再度緊急事態宣言が発令されたり、その3週間後から9月末まで再々度の発令となるなど2021年は外的要因により土地探しがなかなか進まなかった印象が強いです。
ですので次回は、緊急事態宣言の抜け道を使ったと言いますか・裏技的な方法を使って見学に行った売地のことを振り返ります。
【次回(第12回)】
【前回(第10回)】