セルフビルドでタイニーハウスを作り、広いお庭で愛犬をのびのび走り回らせてあげられる・・・そんな生活を夢見て始まった土地探しの旅。
第21回目となる今回は茂原駅の近傍にある、住宅街と田畑が混在した地域の売地を見学した時のことを振り返ります。
【第1回から見る場合はこちら】
売り土地データ(1)
場所:千葉県・茂原駅近傍
土地の広さ:4筆あわせて1386㎡
地勢:平坦(草むら/雑木林)
値段:300万円
※この物件は当記事公開時点で既に成約済みとなっています。場所を特定できたとしても一方的な訪問等は絶対に行わないでください※
現地雑感
当記事執筆時点ではまだまだ2023年9月の豪雨被害が記憶に新しい茂原市。実はコロナ禍前の2019年にも土地探しで近傍を訪問したことがあり、その時も台風被害の割と直後くらいの時期に訪問していました(幸か不幸かその時に見た売地はどれも浸水被害にはあっていませんでした)
【2019年に訪問した時の記事】
今回の土地は先に申し上げますとご縁が無かった土地ですので、見学以降にそこの近くを訪問したこともありませんから確実なことは分かりませんが、先日の豪雨被害で2kmほど離れた場所は床下浸水の被害がヤフーニュースで報じられていましたので、ひょっとしたらひょっとすると・・・?
それはともかくとして(?)、今回の売地は本当に偶然情報を見つけた売地であり、また4つもの土地がまとめて売りに出されるという珍しい形態の売地でした。簡単に説明すると、Aの土地とB・C・Dの土地が私道(法定外道路)を挟んで向かい合っており、駐車場として貸し出されているBの土地と一番奥のCの土地が一番広いDの土地に隣接している・・・文字で書くとよく分かりませんね。苦笑
実際に写真でご覧いただきましょう。先ずはAの土地から。
写真のピントが手持ちの案内図面の方に合っているのはご愛嬌として、Aの土地の現況は背丈ほどの草むらとなっていました。このAの土地は手前に見える砂利敷きの私道と接しているのですが、この私道が曲者で「法定外道路」と呼ばれる道路になっています。何が曲者かと申しますと、建築基準法においては「土地計画区域内で建築行為を行う場合、建築基準法上の道路に2m以上接していなければならない」と定められているのです。
言い換えれば、建築基準法上の道路ではない法定外道路の場合、何メートル接していようが建築許可が下りないわけで・・・つまるところ土地計画区域内にあるこのAの土地は(再)建築不可であり、畑や資材置き場くらいしか使用用途が無い土地でした。
個人的には「Bの土地は法定外道路の私道だけでなく公道にも接しているのだから、Bの土地を駐車場として整備するのではなくこのAの土地の方こそ駐車場として整備すれば良かったのに」と思わなくも無かったのですが、きっと売主(の先代)なりに何か事情があってのことでしょう。
そんな、駐車場として整備されているBの土地はこちら。
アスファルト敷きとなっている部分がBの土地であり、その奥の草が生い茂っているだけでなく雑木林化している場所はDの土地です。重ね重ね、建物の建築が可能なBの土地にこれだけお金と手間暇をかけて駐車場として整備するくらいなら(以下同文
続けて一番広いDの土地・・・は最後に置いておくとして、先にCの土地をチラッと見ておきましょう。
こちらの土地もAの土地と同じく・何ならAの土地と同じ法定外道路である私道にしか接道していませんので、平坦で日当たりの良い土地ですが建築許可は下りません。なんというか勿体ない気もしますが、法律が相手だけに一般小市民の我々には為す術がほぼありません。
ちなみに写り込んでいた案内図面上でこのCの土地とBの土地(駐車場)の間に1区画挟まっているように見えたと思いますが、気のせいではなく実際に連絡の取れない第三者の1区画が挟まっており、その土地に生えている木の枝がBの駐車場に張り出しているせいで2台分ほど車が止められない=駐車場契約が結べないと売主が嘆いていたそうです。
2023年4月1日から民法が改正され、特定の条件(※民法233条3項1号~3号)を満たせば越境してきた枝を自分で切れるようになりましたから、そういう意味では新オーナーは胸をなでおろしている事でしょう。
では最後に、4筆の中で一番大きな土地であるDの土地を見てみましょう。
Dの土地は草むらを通り越えて雑木林と化しており、土地の内部まで足を踏み入れることが出来ない状態でした。そしてこの写真の左端に見えているのが・・・
6畳ほどの小屋「だったもの」が、倒壊寸前の状態で放置されていました。しかもこの小屋は建築確認申請をしておらず未登記。
ネット上でたまに散見される「都市計画区域内でも10㎡(6畳)未満の小屋であれば建築確認申請不要で建てられる」はあくまでも増築の場合に限った話であり、都市計画区域内で新築する場合や・増築であっても防火地域や準防火地域の場合は建築確認申請が必要となります。だから自由にセルフビルドしたければ、そういった制約のない都市計画区域外でやりましょうという話になるわけですね。
閑話休題。
この小屋については前述の通り建築確認申請をしておらず未登記であり、一言で言えば違法建築物です。ですのでこのDの土地に改めて建物を建てようとする場合は、まずはこの違法建築物を撤去し違反処理を完了してからでないと建築確認申請は通りません。(※茂原市都市建設部建築課からの回答)
じゃあこの倒壊寸前の小屋に飛び蹴りでも喰らわせてぶち壊せばいいのかー・・・と思うじゃん?
もっとデカくて頑丈な違法建築物扱いの車庫があるのだよ。
それも2つ・計3台分もな!
これだけしっかりとした作りなんだからさすがに建築確認申請は取ってるだろ~と思いつつ、何となく嫌な予感がして念のため仲介業者経由で売主に確認したところまさかの申請無し未登記。なんでやねん!
一応ネットでざっくり調べた感じだと、既存の未登記建物に対しても詳細な検査をすることで建築基準法に準ずる性能?が認められた場合?に建築確認済証がなんちゃら?みたいな情報もあったような気がしますが、かなり手間も費用もかかるみたいでしたので非現実的かと。
他にも、このエリアは農業集落排水と呼ばれる下水道のような設備が利用できるため浄化槽設置の必要が無いのですが、問題はその農業集落排水が自然流下式ではなく真空式のエリアであるため専用機器の導入に際し200万円以上の設備投資が必要だとかナントカで・・・元々売値も予算を超えていたので交渉前提ではありましたが、それ以外にも色々と問題が山積みな土地だと判明したためご縁はありませんでした。
現地訪問を終えて
そもそも論として何故予算を超える物件だったにもかかわらず問い合わせを行ったのかについてですが、それは遠方に住む売主が相続によりこの土地を相続したものの管理が大変だから売りに出す、といった情報を入手したからですね。
元々所有していた地主の方ですとやはり土地への愛着も大きいでしょうから「相続後に子供たちに迷惑を掛けたくない」みたいなレアパターンでもない限り、価格交渉はあまり通らない(通ってもお気持ち程度)ことが多いと思います。対して相続した側が売主の場合、売地が田舎であればあるほどその土地に対しての執着が少ないパターンが多い(※相続した子供たちは既に都市部で家を持っている、など)ので、うまくいけば大幅な価格交渉も狙えます。
そんなある種の一発逆転を狙うべくターゲットに絞った物件でしたが、結果としてはそれ以前のお話でした。駐車場収入だけでなく電柱敷地料も発生する土地であり、少額とはいえ夢の不労所得者デビューを目論んでいたのですが。苦笑
さてここまで21回に渡りお送りしてきた土地探し記事。いかがだったでしょうか。え?長い?いつまでこのネタを続けるのかって?
次回、ついに購入物件が決まります!!!!
【次回(第22回)】
【前回(第20回)】