セルフビルドでタイニーハウスを作り、広いお庭で愛犬をのびのび走り回らせてあげられる・・・そんな生活を夢見て始まった土地探しの旅。
第3回目となる今回は、これまでとはうって変わって千葉にある寂れた分譲地の売り土地4件+αを一気に見に行った時のことを振り返ります。
【第1回から見る場合はこちら】
売り土地データ(1)
場所:千葉県・茂原駅近傍
土地の広さ:100㎡くらい
地勢:平坦(草むら)
値段:口約束では仲介手数料その他コミコミ40万円ジャスト
※この物件は当記事公開時点で既に成約済みとなっています。場所を特定できたとしても一方的な訪問等は絶対に行わないでください※
現地雑感
第1回で紹介したほぼ無料の熱海の別荘地を除き売値が今までで一番安く、なおかつ土地の広さも過去の静岡県の物件群とは比べ物にならないくらい狭い今回の物件。
【第1回目の様子】
とは言え一番最初に検討した机上の空論では、自分が必要とするタイニーハウスの広さとしては30平方メートル位になるはず、と概算を立てていたので、これでも愛犬のための庭を仕立てるだけの余裕がある広さです。
【「30平方メートル」に言及した記事】
なおかつ別荘地の売り地とは違い、ここは地形的にも真平な場所なので整地や基礎にそこまでお金をかける必要もなく、建築難易度もそのぶん下がるはずだと考えて見学に行ったのですが。
そもそも現地へ向かうまでの私道(数10m)がろくに管理されておらず、ご覧の通りもはや道なのか草むらなのかがよくわからない状態。
更には現地も同じく草むら状態でヤブ蚊が大量に発生しており、側溝は中が砂で完全に埋まってしまっており現状では使用不可=排水が出来ない状態。
境界は杭がちゃんと確認できるので問題ありませんが、それ以外の部分でDIY精神をこれでもかというほどくすぐる育てがいのある物件でした(最大限褒めてます)
とりあえずこの日はまとめて何件か見に行く予定となっていたので、この物件はこの程度にし次の物件へと向かいました。
売り土地データ(2)
場所:千葉県・茂原駅近傍
土地の広さ:130㎡くらい
地勢:平坦(更地)
値段:50万円くらい
※この物件は当記事公開時点で既に成約済みとなっています。場所を特定できたとしても一方的な訪問等は絶対に行わないでください※
現地雑感
続いて向かったのがこちらの物件。
先程の物件よりも1回りから2回りほど広く、接道もきちんと舗装されており土地そのものの全容もご覧の通り比較的楽に確認できます。
一見すると、先ほどの物件+10万円でなんともグレードの上がった良物件のように感じられましたが、実はこの土地には大きな落とし穴がありました。
それは「近くまで水道管が来ておらず、井戸を掘るか100万円くらいかけて引き込み管を敷設するか」の2択を迫られる物件であるということ。
生きていくうえで水は必要不可欠です。飲料用は元より、風呂にもトイレにも洗濯にも水は使いますし、我が家の場合は愛犬の飲み水やシャンプーでも水は使います。その全てをお店で購入して賄うのは非現実的ですし、井戸を掘っても水質が飲用に適しているか否かは掘ってみるまで分かりません。そもそも水量が豊富な水脈に当たるかどうかも掘ってみなければ分かりません。
しかしだからといって、水道の引き込み管を100万くらいかけて整備するのは初期投資として負担があまりにも大きく、しかも実際に水道を使えるようにするためには「水道加入負担金」というものを「別途」支払う必要があるのだとか・・・(※この地域の場合は20mm口径で約30万円)
つまり50万円でこの土地を購入したとしても、この土地で蛇口をひねれば水が出る状態にするためには、最低でも130万円以上の追加投資が必要となってきます。土地代と上水道整備を併せて180万円。これは痛い。
ひとまずこの日はまだあと2件見に行く予定となっていましたので、場合によっては「井戸ギャンブル」も念頭に置きつつこの物件を後にしました。
売り土地データ(3)
場所:千葉県・白子町某所
土地の広さ:150㎡くらい
地勢:平坦(草むら)
値段:ASK
現地雑感
この日3件目となる訪問地はこちら。
まるでこの日1件目を彷彿とさせるような大草原状態ですが・・・大きな違いはというと、こちらの物件の接道となる前面道路はちゃんと舗装されているうえ側溝もすぐに使用できる状態を保たれていました。
しかもよく見ると、この売地には初めから水道管が引き込まれており、水道加入負担金(+α)こそ必要であれど、直前に訪問した土地のように100万円ほどかけて引き込み管を敷設する必要はありません。
案内していただいた業者の方も「ここは水道引込済みなのがアピールポイントなんですよー」とおっしゃっていたくらいでした。
しかしこちらの物件にも落とし穴があり、具体的な売買価格を聞いてみたところ「あれっ・・・どこかに情報を載せていたような・・・ちょっとすぐに出せないんで後日改めてメールで送りますね」とのことでしたが、それから数年が経過した現在(当記事公開時点)でも未だ連絡はありません。よっていくらで売られていた土地なのか・そもそもここは本当に売地だったのか否かすら現時点でも分からず。
この日見て回った物件の中では一番魅力的に映った物件でしたが、きっとここは「ご縁が無かった」土地なのでしょう。そう自分を納得させるほか無い。
売り土地データ(4)
場所:千葉県・茂原駅近傍
土地の広さ:160㎡くらい
地勢:平坦(森)
値段:50万円くらい
※この物件は当記事公開時点で既に成約済みとなっています。場所を特定できたとしても一方的な訪問等は絶対に行わないでください※
現地雑感
日が傾き始めたタイミングで訪れたこの日4件目となる物件・・・なのですが。
そもそも物件までのアクセス路が途中から舗装されていないガタガタ道となり、物件に到着する直前から目の前に広がっていたのは巨木が鎮座する土地。
その中で、申し訳程度に草を刈られた土地が対象の土地だったのですが。
明らかに隣地の巨木が枝と葉っぱを大量に越境させており、控えめに言って採光条件があまりよくないのは一目で明らか。
土地そのものはこの日これまでのどの物件よりも広かったのですが、覆いかぶさっている枝と葉っぱのせいで実効面積としてはそこまで広く使えるわけでもなく。
そもそも木に関しては、たしか越境している根っこは自由に切れるものの枝や葉に関しては勝手に切ることができない(あくまでも「所有者に切らせる権利」を有しているのみ)のはずなので、隣地所有者が動いてくれなければ実効面積は狭いままとなってしまいます。
→2023年4月1日の民法改正により、越境された土地の所有者は木の所有者に枝を切り取らせる必要があるという原則を維持しつつ、次のいずれかの場合には枝を自ら切り取ることができるようになりました(改正後の民法233条3項1号~3号)。
- ⽵⽊の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、⽵⽊の所有者が相当の期間内に切除しないとき
- ⽵⽊の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき
- 急迫の事情があるとき
とはいえ、2019年のこの時点でこのような現況を見せられて「いかがですか!」と言われても、残念ながら秒でお断りする選択肢しか浮かびませんでした。
よって写真も撮っていないどころか、案内していただいていた車から降りてすらいません(苦笑)
現地訪問を終えて
実は今回現地を案内してくださった業者の方、話していてこちらのセルフビルド計画などに異様なほど理解がある方だなと感じていたのですが、詳しくお話を伺ってみると・・・なんと千葉の某Bライファーな「彼」に、九十九里の今の土地を売ったまさにその業者なんだとか。どうりで造詣が深い訳だ(笑)
ちなみに話の流れで「今あの彼の土地の目と鼻の先の土地もうちで取り扱ってるんですけど、ついでに見に行きます?」と提案されましたが、丁重にお断りしておきました。いやもちろん断ったことに深い意味はないですよ、ええホントに。ちょっと条件が合わなさそうだったからなだけですって。
それよりも!追加の資料を送ると言った!3件目の物件について!いつになったら!追加の資料が!届くのか!!(棒読み)
それとも「購入の見込みがない客」と判断されてあちら側から切られただけなのか。今となっては真相は分かりません。もう土地も買ったので別にいいんですけどね。苦笑
以下、まさかの延長戦です。
売り土地データ(延長戦)
場所:千葉県・長生村某所
土地の広さ:300㎡くらい
地勢:雑木林
値段:60万円くらい
現地雑感
この日案内していただいた業者以外にも、並行して他の売地・業者ともコンタクトを取っていたのですが、たまたまこの日の訪問中に「場所をお伝えしますので、ご自由に現地をご覧になってください」との返信が届いたので、延長戦と称してついでに見に行ってみました。
物件情報を見るに、その土地は約90坪(300㎡くらい)あって公道に接しているのだが、公道の幅員が2mちょっとしかないためセットバックが必要(※)なのだとか。
※都市計画区域が定められている地域で建物を建てる場合、原則として4m以上の幅員の道路に2m以上接した土地でなければならない「接道義務」が生じるため。
ま、それでもこの土地の場合、元々が300㎡くらいの敷地を誇るわけですから、その程度のセットバックくらいくれてやらぁ!の精神で問い合わせを行い、実際に見に行くことにしたわけです・・・が。
現地に着いて、先ず1枚撮った写真がこちら。
さて問題です。「公道」はどこでしょうか。
なお写真右端の草が刈られている部分は「私有地(資材置き場)」だそうです。
一応念のため確認ですが、「公道」とは国や県・市区町村といったおおやけの機関が作り、管理している道路の事を指すはずです。そして今回の物件は接道が公道であり、即ち現地の場所を確認する上では公道を基準にして位置を特定すれば良いはずです。
しかしご覧の通り、そのような概念は脆くも崩されました。売地となっている土地の場所(境界)を探すために、まずは接道しているらしい公道の場所を特定しなければならないだなんて。
現地で一生懸命、おおよそ20分くらいかけて状況証拠やら推測やらを駆使した理詰めの結果、先ほどの問題に対する解答は次のようなものだろうと捉えることにしました。
線を引いてみてもいまいち伝わらないかもしれませんが、現地でも最後まで確証は得られなかったのだから、大丈夫だ、問題ない(?)
「赤道」に関するあれこれ
世の中には「赤道」と呼ばれる、かつては道路であったものの様々な理由で使われなくなってしまい、現状では公図上でのみ道路として扱われている土地(法定外公共物)が存在しています。そしてそのような土地は、維持管理に関しても周辺住民任せでほったらかしとなっているようで、まさにこの目の前の公道(と思しき場所)がそれに該当するのでしょう。
ということはですね、仮にこの赤道と化している公道に接する土地を購入したとしても、この雑木林・・・もとい公道に関しては恐らく筆者が維持管理しなければならなくなるのでしょう。この日1件目に見に行った物件へのアクセス路もあまり道路の体を為していませんでしたが、こちらはそれ以上にDIY精神をくすぐるスーパーヘビー級の育てがいある物件ですね(無理やり褒めています)
ちなみに肝心の売地はこのような状態。
そもそもこの売地は「売主が購入した当時(数10年前)は境界杭を目視出来ましたが、その後草木が繁殖した結果杭の位置を特定出来なくなっております。杭を引き抜いたわけではないので根気よく探せば杭はあると思いますが、そのような事情のため価格を抑える代わりに境界非明示という形での取引をお願いしています」との事でした。
そのためあくまでも「売地の場所を理詰めによって特定を試みた結果の推定位置」であり、ひょっとすると数mずれているかもしれませんが、どこもかしこもご覧の通り雑木林なんだか笹薮なんだかもう何がなんだか分からない、しっちゃかめっちゃかな状態が広がっておりました。
最大限近寄った上で多少ズームして撮ってみましたが、土地の起伏すらもイマイチよくわからない程度には荒廃した土地である、ということだけは理解できました。いくら300㎡あるからとはいえ、これを60万円も出して買う気にはさすがになれない(苦笑)
帰宅後、丁重に断りの連絡を入れておきました。
今回の教訓
初心者セルフビルダーたる者、働かなくても生活できるくらい潤沢な口座残高と有り余る時間を持て余す選ばれし無職(FIRE達成者)でもない限り、多少予算の限度額を引き上げてでも「使いやすい土地」に目をつけた方が良い!
ここまでは安さ一辺倒で土地を探して来ましたが・・・今後の土地探しにおいては、もう少し現況と売値のバランスを見定めるようになるターニングポイントともいえる1日でした。
次回以降に続く。
【次回(第04回)】