ひょっとすると「B-DASH」をご存じない方もいらっしゃるでしょうが、ちょうど20世紀~21世紀に入るくらいの時期に一部で熱狂的な盛り上がりを見せていた、大田区平和島~大森近辺出身の3ピースバンドです。
・・・なんて書き方をすると「売れていないバンド」みたいですが、2枚目のフルアルバム「ぽ」はオリコン最高3位・総売上枚数が25万枚を超えて30万枚近くを誇ります。
- アーティスト: B-DASH,GONGON
- 出版社/メーカー: XTRA LARGE RECORDS
- 発売日: 2002/08/07
- メディア: CD
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そんなB-DASHが本日2月17日付で解散を発表し、これまたごく一部の熱狂的ファンだった(元)ライブキッズからは惜別の声も上がっています(独自検証)
今回はそんなB-DASHとの個人的な思い出を記事にしたためていきましょう。
B-DASHとは
ジャンルとしては「パンク」または「メロコア」に分類されるであろう3人組のバンドです。
一時期はギターが2本で4ピースの時期もありましたが、キャリアのほとんどを3ピースの形態で活動していました。
B-DASHの20年に渡る活動の中で、その名を世に知らしめた最大の要因だと思われるものとして「歌詞が歌詞ではない歌詞」、通称「適当めちゃくちゃ語アドリブ」が挙げられるかと思います。
後述しますが、これは文字通り全く意味を持たないアドリブで構成された歌詞が曲中の至る所に登場し、実際のライブにおいても適当めちゃくちゃ語の歌詞・音程が毎回バラバラで文字通りアドリブでのパフォーマンスでした。
一説には「歌詞も1つの音の響きと捉えて楽しんでほしい」などといった意味が込められて、このようなアドリブや適当めちゃくちゃ語の歌詞が出来上がったとも称されていますが、実際のところ真偽は不明です。
「ライブ」という観点においては、だいたいのバンドはギターソロや間奏の合間にステージ中央へ出てきて観客を煽ることが多いかと思いますが、B-DASHのライブにおいては客席を煽ることがほとんどなく、ファンが曲に合わせて勝手に盛り上がっている様子をメンバーがステージからにこやかに眺めているなど、あらゆる面で「他とは一線を画すバンド」でした。
また公式キャラクターとしてCGで描かれた「トニオ」というものがあり、ジャケットはもちろんMVでもCGを駆使して合成で登場させたりするなど、クリエイター寄りの演出をいち早く取り入れていました。
B-DASH作品紹介(一部)
途中からB-DASHの存在を知り、途中から聞く音楽ジャンルが変わってしまったため離れてしまいましたが、とりあえず手元にあるB-DASHのCDコレクションはこのような感じです。
せっかくなのでそれぞれのCDについて、少しずつではありますが作品紹介のついでに思い出を垂れ流すことにしますので、少々お付き合いください。
2ndアルバム「ぽ」
- アーティスト: B-DASH,GONGON
- 出版社/メーカー: XTRA LARGE RECORDS
- 発売日: 2002/08/07
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若干隠れてしまっていますが、前面に描かれているCGのキャラクターが「トニオ」ですね。
このアルバムは先行シングル「ちょ」を含む11曲入りのアルバムで、まともな歌詞の曲が1曲もない(褒め言葉としての)頭が狂っているアルバムです。笑
そもそもアルバム名が「ぽ」、先行シングル名も「ちょ」ですからね・・・
ちなみに「ちょwww」ではなく「ちょ」です。苦笑
「ちょ」のライブ動画(公式)がありましたので貼り付けてみましたが・・・いかがでしょう?
歌詞は聞き取れたでしょうか?
答え合わせはこちら。
医療隊マッカラ号って何だよ!
元々の歌詞も全くもって意味を為さない「音」の羅列に過ぎませんが、そのうえで更に「適当めちゃくちゃ語アドリブ」と歌詞カードで&カラオケの歌詞でも表示するあたり突き抜けっぷりがうかがい知れるかと思います。
歌詞が「言葉としての意味をほとんど為していない、アドリブ」の作品は、B-DASH以外で直ぐに思いつくものだと、藍坊主のシングル「スプーン」のカップリングに収録されていた「Lumo」くらいしか思いつきません。汗
このような形でオリコン3位・総売上枚数25万枚越えを記録する程度には、一部の界隈で熱狂的な支持を受けていたアルバムが、私にとっての出会いのアルバムでした。
3rdシングル「平和島」
- アーティスト: B-DASH,SOTA SUGAHARA,永六輔,GONGON
- 出版社/メーカー: XTRA LARGE RECORDS
- 発売日: 2002/09/25
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冒頭でB-DASHのことを敢えて「大田区平和島~大森近辺出身の3ピースバンド」と称しましたが、これはB-DASHの楽曲で
- BIG FOREST STATION 大森駅
- 情熱の若竹公園
- メロディック本門寺
などなど、大田区の地名(場所)を冠した曲がちょこちょこ存在していることも関係しています。
そしてこの3枚目のシングルはずばり「平和島」で、これまた大田区の地名として実在する場所です。
ただこのシングルは非常に特徴的なことがあり・・・
歌詞がちゃんと意味の通じる日本語だ!
これは作詞が普段作詞作曲を手掛けているGONGON氏ではなく、実弟のSOTA氏が書き下ろした作品であるから、という側面もあるでしょう。
もちろんこの平和島以前に歌詞がちゃんとした日本語の曲が無かったわけではなく、例えばライブでも定番曲だった1stミニアルバム「FREEDOM」収録の「炎」という曲もまた、普通の歌詞の曲でした。
話を平和島に戻すと、直前に発売された前述のアルバム「ぽ」でまともな歌詞の曲が1曲も無かったのに対し、
シングル「平和島」では(カバー曲の「上を向いて歩こう」も含め)GONGONが苦手とする英語詞の曲「KIDS(※かつての作品のセルフカバー)」もあるなど、雰囲気がガラッと変わった・・・
失礼、いつもどおりでした。笑
ちなみに前述「KIDS」のライブ映像も公式で上がっていましたのでご紹介します。
もはや敢えて言及するまでもないかもしれませんが、やっぱり歌詞もメロディラインもCD版とは一部異なります。
4thシングル「SECTOR」
前作「平和島」から半年強ほどのスパンでリリースされたシングルです。
このシングルから「ある仕掛け」が施されるようになります。
ひょっとするともう記憶にない方々もいらっしゃるかもしれませんが、かつてCDの形式として「コピーコントロールCD(CCCD)」という形態が存在していました。
これは当時、音楽業界全体を通してCDが急激に売れなくなってきたため、その原因を「パソコンに取り込んでデータ化したファイルを、ネット上で違法にやりとりしているからだ」と考え、じゃあ根本的にパソコンへ取り込めない形式でリリースすれば違法アップロードは無くなり、売り上げも元に戻るはずだとの推論から導入された形態でした。
現実にはCCCDにしても売り上げ枚数にさほど変化はなく、また徐々にiTuneに代表されるようなデジタル化の流れが主流になっていったこともあり、数年のうちに姿を消しました。(以上、一部独自考察を含む)
早くからCD Extra仕様で特別コンテンツを内包するなどしていたB-DASHも、このシングル「SECTOR」以降、暫くはCCCD形式での販売が続くことになります。
楽曲面に話を戻すと、前作「平和島」が日本語詞を前面に押し出した(当時のB-DASHとしては)異色のシングルだったのに対し、
この「SECTOR」は一転して意味を為さない歌詞に戻っています。
普段の「適当めちゃくちゃ語アドリブ」表記ではなく「適当アドリブめちゃくちゃ語」表記になっているのは些細な相違点だとして、そもそも実際に歌っている言葉(音数)が「適当アドリブめちゃくちゃ語」の音数よりも明らかに少ないのですが。苦笑
ただアルバム「ぽ」の時とは違い、歌詞の一部にちゃんとした日本語の歌詞も含まれるようになっています。
実際、この作品から先は少しずつ「ちゃんとした日本語の歌詞」の曲の比率が上がっていきます。
→B-DASH - SECTOR JAPAN TOUR 2003 @SHIBUYA AX - YouTube
余談ですが、個人的にはB-DASHの中でも特に好きな曲ではありません。苦笑
5thシングル「目覚めよニッポン!」
この頃は非常に短いスパンで新曲をどんどんリリースしており、前作「SECTOR」から5か月で発売されています。
またこの作品は、オールナイトニッポンとのコラボ作品になっているなど、20年に渡るキャリアの中でも最も露出していた時期かもしれません。
歌詞の方も、それまでの「全く意味を持たない音の羅列」から「単語単位では(比較的)意味を持つ言葉、の無作為繋ぎ合わせ」に変化しつつある作品だと思います。
その結果かどうかは分かりませんが・・・
やたらと「土井さん(土居、土肥でも可)」が連呼される歌詞となっています。笑
3rdアルバム「ビッグ ブラック ストア(連絡しろ)」
勝手に略して「BBS」のアルバム。
タイトルの由来とは異なりますが、たしかこの頃はギターボーカルのGONGONが個人サイトを運営していて、そこに設置していた掲示板(BBS)で訪問したファンと時間を決めて、チャットの如くリアルタイムでやり取りしていたように記憶しています。
ちなみに私はそこでブラウザのF5の意味を知りました。
話を作品に戻しまして、このアルバムには謎の特典がついています。
メンコにしては大きく、お面にしては小さい謎の物体・・・。
封入されていた説明を見ると、
これは発音次第で「セウト」と呼ばれるタイプのものではないかね?!?!?!
遊び心満載ですね。笑
さて、このアルバムには「いわくつき」の楽曲が1曲収録されています。
アルバムのトリを飾る曲「情熱たましい」です。
この曲は元々、アルバム発売の半年ほど前・2003年の夏にシングルとして発売されることが決定していて、事前に告知もされていたのですが、どういうわけか突如発売中止となり、今回のアルバムのラストに改めて収録されることになった経緯があります。
理由は特に公表されていないので真相は不明ですが、友人とあれこれ話をしている中で仮説として「歌詞の一部にクレームが入った」説が持ち上がりました。
具体的には色を付けた部分の「世界に一人だけの 特別な人」というフレーズで、元々シングルとして発売が予定されていた時期の半年前には
- アーティスト: SMAP,槇原敬之,工藤哲雄,都志見隆
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2003/03/05
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この曲が発売されています。
完全に噂話の一つとして「あそこなら差し止めを要求しかねない(笑)」との結論に至ったのですが、結局どちらも解散してしまいましたので真相は闇の中となりました。
1stベストアルバム「B-DASH BEST」
- アーティスト: B-DASH,GONGON,MUNE,TSURUCHAN,KONCHI,SOTA,TANAMAN
- 出版社/メーカー: XTRA LARGE RECORDS
- 発売日: 2004/10/14
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実はB-DASHはベストアルバムが3枚発売されているのですが、これはそのうちの1枚目ですね。
ベスト盤だけあり、ここまでに発売されたシングルや人気曲は一通り押さえられていますので、B-DASHの入門用としては非常に良いかと思います。
またこのアルバムには特典が封入されていたのですが・・・
このデザインは色んな意味で大丈夫だったのだろうか。笑
「ハァミリーロンピューター」なら問題ないか。苦笑
6thシングル「ハーコー」
- アーティスト: B-DASH,GONGON,CHATANIX
- 出版社/メーカー: XTRA LARGE RECORDS
- 発売日: 2004/11/25
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Vodafone(現・ソフトバンク)のCMソングとなったシングルです。
4thシングル「SECTOR」から続いたCCCD形式での販売は、この作品をもって終了となります(なっているはずです)
・・・それ以外に特筆すべきものが特にありません。苦笑
歌詞はやっぱり意味を為さない音の羅列になっていますが、歌詞の一部に「テレビの電波に乗せて流すのは好ましくない表現」があったような・・・?
2ndミニアルバム「ホフ」
- アーティスト: B-DASH,GONGON
- 出版社/メーカー: XTRA LARGE RECORDS
- 発売日: 2005/04/13
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4thアルバム「NEW HORIZON」とどちらが先だったかあやふやでしたが、こちらの方が先だったみたいです。
この作品において特筆すべきものはただ1つ。
スラマッパギ!
マンガ「日常」の1巻を開いた瞬間「まさか!」と思いましたからね。笑
4thアルバム「NEW HORIZON」
- アーティスト: B-DASH,JUNJI ISHIWATARI,DAISUKE FUJITA,HIROMITSU MANABE,GONGON,YASUTAKA TAKESHITA,DAIGO IZUMI,KONCHI,ARASE
- 出版社/メーカー: PQ Records
- 発売日: 2005/08/17
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4枚目のフルアルバムとなる今作では、これまでの適当めちゃくちゃ語とは打って変わり、元SUPERCARのいしわたり淳治氏が作詞を担当するなどほぼ全曲がちゃんとした日本語詞のアルバムになっています。
ですが6曲目の「ダンサーゼブラ」は、Aメロのベースラインがヒゲダンスのテーマになっているなど、遊び心も忘れてはいない作品ですね。
7thシングル「Let's Collabo」
- アーティスト: B-DASH,菅原勇太,いしわたり淳治,DAIGO IZUMI,荒瀬卓也,GOTA
- 出版社/メーカー: PQ Records
- 発売日: 2006/03/15
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私の手元にある中で最も新しい作品です。
実際にはこの次の5thアルバム「パンパカパン」も購入したのですが、購入してあまり日が経たないうちに盗難被害にあったため、手元には現存しません。
さてこの「Let's Collabo」は7thシングルなのですが・・・
シングルなのに10曲収録されています。
オリコンでは(たしか)5曲以上収録された作品を一律で「アルバム」として扱っていますので、オリコン上はシングルではなくアルバム扱いになっている作品です。
10曲も何が収録されているのかという話ではありますが、これは発売前に行われたライブの音源が7曲分収録されており、CD音源とはまた違ったアレンジ(アドリブ)の曲を聞くことができます。
以上、手元に現存する範囲でB-DASHの簡単な作品紹介でした。
まとめ
20年の活動の中で晩年はメディアへの露出もなくなり、ライブの回数も音源のリリースも昔に比べて激減していましたが、こうやっていざ「解散」の一報を耳にすると寂しさでいっぱいです。
一般的な知名度は低かったかもしれませんが、その独特の曲構成や言葉遊びのセンスなど、他のバンドにはない魅力がいっぱい詰まったバンドだったと思います。
またギターボーカルのGONGONは「ミュージシャンっぽいから(笑)」という理由だけで、名義をYUTAからGONGONに変えてみたり、自分のWEBサイトでファンと交流したかと思えば、2ちゃんねるのスレッドに降臨して>>172と喧嘩をした挙句「今度の作品で君の曲を作ってあげるよ(笑)」と言って本当に「マイコー172」という曲を作ったらしい(※要出展)など、どこか憎めない親近感の湧くキャラでした。
改めて・・・20年間、お疲れ様でした。そしてありがとう!
最後に、ハードディスクの中を漁っていたらうっかり発掘してしまったトニオちゃんの絵(自作)と共に、GONGONが頻用していたフレーズでお別れするとしましょう。
絵の方はプロパティ情報を見る限り、2005年の11月に描いたっぽいです。汗
ぽぽーい!(笑)