去る2022年1月27日に格安sim(MVNO)を取り扱っている日本通信から、新しい料金プランが発表されました。
それがタイトル通り「合理的シンプル290」というもの。
以前より攻めた料金プランと真っ先に提供することで定評のある日本通信(※品質が伴っているとは言っていない)、今回のプランもMNOに一石を投じるパイオニアとして革命的なプランなのか・それとも体力勝負の暴走的プランなのか、私見全開でチェックしてみましょう。
新プラン「合理的シンプル290」概要
今回発表された新プラン「合理的シンプル290」は、音声通話もついたデータ1GB/月=基本料金を税込290円で提供するプランとなっています。
厳密には、1GB~100GB(!)の間で利用者側が自由に上限を設定でき、そのうえで仮に上限をMAXの100GBに設定していても実際には1GBしか使わなかった場合は「基本料金の290円のみの支払いでOK」というものです。近しいもので言えば、エキサイトモバイルや楽天モバイルなどで採用されている従量制(段階制)プランを、データ使用量が1GB増えるごとに+220円とシンプルな計算式で設定したプランですね。
エキサイトモバイルや楽天モバイルなどの場合、同じく従量制(段階制)プランといえども実際には割と歪な価格上昇カーブを描いているので、価格境界付近ではデータ使用量を超えないように涙ぐましい努力(?)をするユーザーも居ることでしょう。
そういった煩わしさから解放されるのが、日本通信から今回提供された新プラン「合理的シンプル290」となります。
合理的シンプル290は本当にお得なのか?
ではここからは、今回の新プラン「合理的シンプル290」が本当にお得と言えるのかを細かく検証していきましょう。
検証対象として上述したエキサイトモバイルと楽天モバイル、そして筆者が現在メインで使用しているmineoも参考ながら対象としてみます。(※mineoは従量制プランではなく定額制プランであることに注意)
改めて出走馬・・・もとい検証対象をまとめると次の4社です。
- 日本通信:MVNOのパイオニアともいうべき存在。MNOの料金プランに果敢に攻め込む姿には一定の評価がある
- エキサイトモバイル:早くから従量制プランを提供したり、低速通信時もバースト機能を提供するなどコスパがよいMVNOの1つ
- 楽天モバイル:楽天グループの知名度と圧倒的な広告戦略でユーザーを伸ばし、第4のキャリアまで上り詰めた新興勢力
- mineo:「Fun with Fans!」を掲げ、ユーザーと共に創っていくことを信条としている。「マイネ王」など独自サービスの充実が特徴
先に結論から申し上げると、楽天モバイルの「~1GB・0円」の範囲は別格なので除外するとして、合理的シンプル290も低容量では十分に戦えるプランとなっています。
具体的には月に6GBまでの範囲では最安値・7~9GBの範囲ではエキサイトモバイルと接戦になるものの、10GB以上使用するのならば他3社に対してほぼ勝ち目無しの価格となります。
ただし下記グラフでは見やすさを重視して記載していませんが、エキサイトモバイルの場合7GB以上使用するなら従量制プランよりも段階制プランの方が安い価格設定となっていますので、そちらも考慮に入れるなら合理的シンプル290は月6GBまでの範囲で使用するのがお得かもしれません。
上のグラフから分かることは、現在筆者が6年以上利用しているmineoも(従量制と定額制の違いはあれど)5GBを超える価格帯では意外と良い勝負をする価格設定となっていることでしょう。
mineo の現在の料金プランである「マイピタ」が発表された当時は、まだ音声卸料金については原価ベースでの設定が可能になる直前のタイミングであり、マイピタが発表された少し後からMVNO各社が将来的な音声卸料金の値下げを見越した低料金プランをこぞって投入したことで相対的に割高な料金設定となってしまっているわけですが、それでもこうやってグラフにて可視化することで、他社とも十分に戦える容量帯が見えてきたのは収穫でしょう。
合理的シンプル290はどのようなユーザーにオススメか
これはずばり、1か月あたりのデータ通信量がほどほどに少ないユーザーにオススメのプランと言えるでしょう。
普段はリモートワークで家の固定回線をWifiで使うからモバイルデータ通信はほぼ使わない、ただ全く使わないわけではないので楽天モバイルの1GB未満0円の恩恵は受けづらい・・・そのようなユーザーがターゲット層となります。
逆にランニングコストを限界まで切り詰めたいのであれば、素直に楽天モバイルで月のデータ使用量を1GB未満に抑え0円運用を目指すか、あるいはpovo2.0で半年に1度?最低限のトッピングのみ行い番号維持に努めるかのどちらかをお勧めします。
1つ注意点があるとすれば、日本通信は以前より「攻めた料金プランを真っ先に提供することで有名だが、通信品質に疑問符を持つユーザーが一定数存在することでも有名である」部分でしょうか。
本来ならば人柱として合理的シンプル290を契約し実際に使ってみるのが一番なのですが、あいにく筆者の環境では新たに音声対応simを入れて試すほど端末の空きは持ち合わせていないため、参考程度にネット上での品質評価に言及してお茶を濁しておきます。苦笑
なおこれまでに日本通信のsimを使ったことはありませんが、「バースト機能については提供していない」と公式で明言していることは確認済みです。
・・・そもそも「合理的シンプル290」の場合、利用者側で設定したデータ通信量の上限に達すると、速度制限がかかる・・・のではなく通信そのものが出来なくなるようなので、バースト機能があろうがなかろうが全く関係ないのですが。
※上限設定はいつでも変更でき即時反映されるようなので、上限が近づけば上限設定を変更することで通信停止を回避可能です。
まとめ
- 月のデータ使用量がだいたい6GB以下くらいで、音声対応simをなるべく安く契約したい層に最適
- 通話がメインのユーザーでも通話定額系のオプションが提供されている(月70分まで通話定額が700円/月・通話かけ放題が1600円/月)
以上が日本通信の新料金プラン「合理的シンプル290」についてのまとめとなります。
他の従量制プランを提供している会社の料金と比べても極端な低価格路線で暴走しているわけではなく、需要の取りこぼしとなっていた「家の固定回線があるから、低容量で低価格の音声対応プランが欲しい」みたいなユーザー層を上手く取り込む料金プランに見受けられます。
※楽天モバイルの月1GBまで0円(1回線目のみ)や、月額0円でトッピング方式にて通信容量を都度購入するPovo2.0は特殊すぎるので比較対象からは除外
今回のプラン発表に追随する他社が出てくればMVNO業界も盛り上がると思いますし、低容量を必要とするユーザーにとっても願ったり叶ったりの展開ですね。
それと同時に、筆者が長年愛用中のmineoももう少し低容量プランの拡充or値下げをしてもらえれば・・・苦笑