ご存知の方も・そうでない方も、私は「元・左利き」です。
実生活でこの話をすると、かなり多くの確率で「じゃあ子供の頃に右に矯正されたんだ?今も左で出来るものってあるの?ある?へー!じゃあ両利きなんだ!便利でいいなー!」みたいな流れになります。
私自身にとってこの流れはこれまでの人生で幾度となく遭遇してきた1場面ですが、日本人の9割?人類の9割?が右利きであるこの世界では、マジョリティな右利きにとって(元)左利きの人間の生態そのものが興味を惹きつける対象となるようです。
さてここで私は、1つだけ声を大にして言いたいことがあります。
それは「私は両利きではない、クロスドミナンスだ」ということ。
そもそも皆さん、クロスドミナンスって言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
今日はそんな「元・左利き」にまつわるお話です。
私の幼少期
どうやら私は物心ついたころから左利きだったような気がします。「気がします」というのは単純に記録が残っていないだけで、記憶にある限りでは左でクレパスをもって絵を描いていたと思います。
ただ文字に関しては、周りを見て右手で鉛筆を持ってみたり・特に何も考えず左手で持ってみたり・・・と自由奔放だった気も。苦笑
しかし、これが決定的に変わるタイミングが訪れます。それが小学校入学。
昭和生まれの私が入学したころは「そういう時代」だったのか、あるいは必要以上に世間体を気にする地域柄だったのか、入学して担任の先生から最初に怒られた内容は、
「○○くん!どうして鉛筆を左で持っているの!鉛筆は右で持つものです!!(※○○=私の本名)」
子供心に「左で鉛筆を持っていること」を怒られたのは非常に驚きでした。それと同時に、周りの子が例えば「授業中に席を立って走り回ろうとすること」を怒られているのと、自分が左で鉛筆を持つことが同列の「悪いこと」だと言われたような気がして、じゃあ左手で何かをしちゃいけない!とある種の強迫観念に駆られるようにもなったものです。
「元・左利き」への転換期
小学校入学以降、担任の先生からの熱心なご指導の甲斐もあって、左利きから右利きへの矯正に向けたエリートコース(棒読み)を送る毎日でしたが、ある日ふとしたきっかけでその後の人生に大きな影響を与える出来事が発生します。
その日はたしか校庭か公園か、どちらかで上級生も混ざったドッジボールをしていました。
とは言え小学校1年生にしては非常に小柄だった(成長期が中学1年まで来なかった)私の場合、ひたすら飛んでくるボールからちょこまかと逃げ続けては、時々上級生が手渡ししてくれるボールをエイヤッ!と投げる程度で参加していました。
この時も「うっかり」左でボールを投げてしまい、上級生から「左利き?」と聞かれたことで、「左を使うと先生にいつも怒られるし、そしたら上級生からも怒られるのかもしれない!」と咄嗟に考えて、次から右で投げるなど涙ぐましい努力()を行っていたのです。
そんな感じでドッジボールに参加していたのですが、途中で敵の上級生が投げたスピードボールが一直線に自分の顔めがけて飛んできました。
気づいた時には避けられる距離ではなく、かといってそのまま当たってはやっぱり痛いですから、反射的に両手をバッと顔の前に出したその直後。
「イターーーーーーーーイ!!」
飛んできたスピードボールが右手の小指に直撃し、思わず悲鳴にも似た叫び声を上げる当時の私。
皆さまは当時の私の身に何が起こったのか、お分かりいただけることでしょう。
それはそれは、ものの見事に突き指をしました。汗
(ご覧の通り、結局今でも右手の小指は途中で曲がったままです。)
突き指をしたら暫くは動かすことが出来ません。これがある人物の怒りを買うこととなります。
それは誰か?もちろん担任の先生です。
「なんで突き指したの!突き指したら右手を使う練習がやりづらくなるじゃない!もっと気をつけなさい!」
まさか突き指したことまで矯正に絡めて怒られるとは思いもしませんでしたが、それと同時に先生が考えたさいきょーの矯正けいかく(棒読み)にも支障をきたすこととなりました。
一刻も早く右利きに矯正したい、しかし右手の小指を突き指してしまった。さあどうする先生?
「じゃあとにかく鉛筆だけは右手で持ち続けなさい!」
大人になった今だから察することは出来ますが、恐らくこのとき担任の先生はこう考えたのでしょう。2年に上がったら割とすぐに習字の時間が始まる。習字の止め・ハネ・払いは左だとかなりやりづらい。だから文字を書く手だけでも右利きにしてしまおう、と。
それ以降、お箸を持つ手は左に戻り、鉛筆だけは先生の叱責に怯えつつなんとか右利きへと矯正されたのでした。
とは言え子供心にこの1年間の叱責は「左利きじゃあいけないんだ」と認識させるには十分だったらしく、それ以降もどうしても右手で上手くできないもの以外は自ら率先して右手を使うように育ちました。
こうして左利きだった私は右利きへの矯正を受け、気が付けばクロスドミナンスとなっていたのです。
いやそもそも「クロスドミナンス」って何?
ここにきてようやくタイトルの話が出て来ました。苦笑
クロスドミナンスとは何か?Wikipediaに詳細は載っていますが、簡単に説明すると「用途によって利き手が左右バラバラである状態」の事を指します。
前項の通り、鉛筆は担任の先生の涙ぐましい努力()の甲斐あって右利きとなりましたが、お箸は今でもほとんどの場合左手で使用しています・・・みたいな感じですね。
両利きというのが「両手どちらでも用途を問わず自由自在に使える状態」だと考えると、両利きとクロスドミナンスは似て非なるものだということが伝わるでしょうか。
ではクロスドミナンスを自称するからには、いったい私はどのくらい利き手がバラバラなのか、表にしてまとめてみましたのでご覧ください。
左優位 | 右優位 | |
---|---|---|
鉛筆 | △ | ◎ |
箸 | ◎ | ○ |
スプーン・お玉 | △ | ◎ |
包丁 | × | ◎ |
ピッチング | ○ | ◎ |
バッティング | ◎ | × |
ビリヤード | ◎ | × |
ボーリング | △ | ◎ |
PCのマウス | ○ | ◎ |
ギター・ベース | × | ○ |
ドラム | △ | × |
歯ブラシ | ◎ | ◎ |
思いついたものだけを並べてみましたが、この時点でも既に左優位と右優位が混在していることがお分かりいただけるかと思います。
鉛筆は左手でも書けないことはない(※この記事で使用した画像内の文字は、全て左で書きました)が、スピードと正確性を求めるならば断然右手が優位。(→過去記事参照)
お箸は左手だけどスプーンは右手のほうが使いやすいから、ラーメン+チャーハンセットは両方同時に食べられる。笑
野球のピッチングでスピードが出るのは右投げだが、フォームは左投げの方が遥かに綺麗だとほとんどの人に言われる。でもバッティングは左打席でしか対応できない。
PCのマウスは左でも右でも問題なく使える、が、
ノートパソコンのマウス:左手で操作・左クリックは左側のボタン
— ふとし (@fc2104) 2017年12月18日
内職用のパソコンのマウス:右手で操作・左クリックは左側のボタン・ボールペンは右手で握る
デスクトップのマウス:左手で操作・左クリックは右側のボタン・ペンタブのペンは左手で握る
さすがにそのうち混乱しそう。苦笑
今現在の環境はさすがにちょっと・・・苦笑
このようにモノによって左優位と右優位が混在している人間ではありますが、ほぼ唯一?の例外があり、それは表の最後に記載した「歯ブラシ」です。
私の歯磨きの様子を簡単に説明しますと、右側の歯を磨くときは左手で歯ブラシを持ち・左側の歯を磨くときは歯ブラシを右手に持ち替えて右手で磨きます。
以前にも記事にした通り、実は歯医者さんで指摘されるまで気づかなったのですが・・・一般的にはこんな「途中で持ち替える」ようなことは行わず、左手に歯ブラシを持ったら左側の歯も右側の歯も左手だけで・反対に右手で歯ブラシを持ったら左側の歯も右側の歯も右手だけで磨くらしいですね。ある意味では「一般的」な皆さんの方が器用なのか・・・?
※以前の記事:
ちなみにこの表には記していませんが、利き目に関しては元々右だったみたいです。
利き目の調べ方ですが、
- 何か遠くの対象物を両目で見る
- 手のひらを前に突き出して、両手の親指と人差し指を使って三角形を作る
- 指で作った三角形の間から対象物を覗きつつ、三角形のサイズを狭めていく
- 対象物以外が三角形の間から見えなくなったところで片目ずつ閉じる
- この時、手を動かさずに対象物を見ることが出来た方が利き目である
さいごに
かつては「左利き=右へと矯正すべき対象」みたいな風潮がありましたが、最近では左利きも個性だとして認知されるようになってきたため、ここまであからさまな矯正を受けることは少なくなったのではないかと思います。
今の時代に産まれていたら、間違いなく左利きのまま育ったことでしょう。
そして左利きを右利きに矯正するデメリットですが、やはり子供にとっては非常に負担が大きいのが1番です。それまで「普通」にしていたことを、ことごとく否定されるわけですからね。
・・・いやさすがに今の時代なら否定まではされないか?
世の中のほとんどのものは右利きにとって利用しやすいように作られている事もあり、今でも左利きから右利きへと矯正を受ける場合があるかもしれませんが、矯正の結果必ずしも両利きになるわけではなく、完全に右利きになる人もいれば・私のようにクロスドミナンスになる場合もある、という話でした。
話のネタにはなるけれども、これはこれでけっこう生活しづらいんですよ。苦笑