厳密な表記としては「プラスワン・マーケティング社がFREETELブランドで展開するMVNO事業を、楽天が買収した」となるのですが、格安sim関連においては「FREETEL」と「楽天モバイル 」というブランド名の方が有名でしょうから、便宜的に「FREETELを楽天モバイル が吸収した」とでも申しましょうか。
ある意味では驚きの展開であり、FREETELのみにスポットを当てた場合はある意味で妥当な展開とも言える今回の買収について、私なりにヤジを入れてみることにします。
FREETELのお騒がせっぷり
このブログ的に一番のトピックとしては、やはりsimple2+関連のゴタゴタでしょう。苦笑
「桜の咲くころに出したい(2016年とは言っていない)」と、2016年のかなり早い段階で言及されていたsimフリーのフィーチャーフォン「simple2+」ですが、結局2017年の秋になっても未だ続報がありません。
そもそも遡れば「1作目」と呼ばれるポジションの初代・simpleに関しても、本来の発売予定(発表)から1年も遅れてようやく発売へとこぎつけ、それでいて実際に手に取ったユーザーから出てきた感想は「simフリーがらくたフォン」「FREETEL SAMPLE」など惨憺たるものでした。
これでいて、会社としては「日本品質」「Made by JAPAN」を前面に掲げ、simple以外の端末に関しても色々と作りにおいてキナ臭い話を耳にし、とどめとしては今年4月の景品表示法違反(通信速度が業界で最速!みたいな表記をしていたアレ)による消費者庁からの措置命令ですからね。
そもそもその通信速度に関しても、スピードテストアプリを利用するときだけ速度が出るように「調整」が入っている・・・と専らの噂でしたが、実際にはどうだったのでしょうか。是非とも契約中のユーザー皆さんの体感速度を伺ってみたいものです。
かつてのインタビューで「ブッチギリだと思う」とおっしゃっていた社長ですが、その言葉に違わぬ会社としての(明後日の方向への)ブッチギリっぷりではあった・つまり有言実行(棒読み)であったということでしょう!!
実は大赤字だったFREETEL
会社分割(簡易吸収分割)による事業の承継に関するお知らせ(pdf)
こちらは楽天から発表された、今回の買収に関するプレスリリースですが・・・特に目を引くのが「平成29年3月期における純利益が-55億円」というとんでもない大赤字が開示されたことでしょうか。
資本金が48億弱・平成29年3月期の売上高が100億・総資産が61億の会社における年間の赤字が55億だなんて、経営に関する知識を持ち合わせていない私の視点でももはや自転車操業の域を越えていると思わざるを得ません。
もっとも、楽天が引き継ぐ負債総額は55億円ではなく30億円程度とのことですが。。。
前項のお騒がせっぷりをひっくるめても、ある意味では「なるようになった結果」なのかもしれませんね。
FREETELのsimはどうなる?
現在契約中のsimについては、契約先が楽天になるだけでサービス内容やキャンペーンの適用などに変更はないとのことです。現時点でたとえば月額299円~のFREETEL SIMを利用中であれば、11月以降も楽天から請求書が届く以外、特に変更はないみたいですね。
ただし「フリモバ」ブランドで提供するサービスや、プリペイドSIMについては対象外との事ですので、該当ユーザーの方は今後も従来通りプラスワン・マーケティング側から請求などがいくのではないでしょうか。
FREETEL SIMから他社へ乗り換える場合の候補
サービス内容などに変更がないとはいえ、ひょっとしたら中には楽天のサービスを利用することに抵抗を感じているような方が、いらっしゃらないとも限りません。
そこで、月額299円から使った分だけ支払う料金体系となっているFREETEL SIMを解約し、別のMVNOサービスを利用する場合に候補となり得るサービスを探してみました。
全てのMVNO事業者を網羅しているわけではないので漏れはあるかと思いますが、乗り換えを検討中の方々は参考の1つになさっていただければと思います。
b-mobile
※価格は全て税抜・データ通信専用・2017年9月26日現在
【おかわりSIM】
- ~1GB:500円(FREETEL SIMの場合、ここまで499円のゾーン)
- 1GB~2GB:750円
- 2GB~3GB:1000円(FREETEL SIMの場合、ここまで900円のゾーン)
- 3GB~4GB:1250円
- 4GB~5GB:1500円(FREETEL SIMの場合、ここまで1520円のゾーン)
b-mobileには「おかわりSIM」と呼ばれる料金プランがあり、これはまさにFREETEL SIMのような変動制の料金プランとなっています。
価格の方も比較的FREETEL SIMの料金ゾーンと近くなっている部分が多く、むしろおかわりSIMの方が通信量の区分が細分化されているため、使い方によってはFREETEL SIMよりも安くなる可能性があります。
なお話が少々逸れますが、b-mobileの場合はソフトバンク網のロック解除されていないiPhone・iPadで利用できる開幕SIMというsimも提供されていますので、幅広いニーズに応えられるMVNO事業者であると言えるでしょう。
エキサイトモバイル
※価格は全て税抜・データ通信専用・プランは一部を抜粋・2017年9月26日現在
【最適料金プラン】
- 低速固定:500円
- 0~500MB:630円
- 500MB~1GB:660円(FREETEL SIMの場合、ここまで499円のゾーン)
- 1GB~2GB:770円
- 2GB~3GB:880円(FREETEL SIMの場合、ここまで900円のゾーン)
- 3GB~4GB:1150円
- 4GB~5GB:1450円(FREETEL SIMの場合、ここまで1520円のゾーン)
【定額プラン】
エキサイトモバイルは定額プランだけでなく、FREETEL SIMと同じ変動制のプランも提供している数少ないMVNO事業者です。
ご覧のとおり小容量の範囲ではFREETEL SIMに分がありますが、月のデータ使用量が概ね1GBを越えてくる場合、こちらのエキサイトモバイルの方がお得に利用できます。
またエキサイトモバイルには「バースト機能」と呼ばれる、低速状態でも通信の最初一定量のみ高速でデータのやりとりが可能な機能が備わっていますので、普段は低速固定でやり過ごし高速データ通信量を極力抑えるような運用でも、そこまでストレスなく利用できるかと思います。
DMMモバイル
※価格は全て税抜・データ通信専用・プランは一部を抜粋・2017年9月26日現在
- 低速固定:440円
- 月1GB:480円(FREETEL SIMの場合、499円のゾーン)
- 月3GB:850円(FREETEL SIMの場合、900円のゾーン)
- 月5GB:1210円(FREETEL SIMの場合、1520円のゾーン)
こちらはb-mobileやエキサイトモバイルのような変動制のプランではなく、通常の定額プランで月額料金を抑える場合に候補の1つになるかとは思います。
元々DMMモバイル自体が「業界最安値」を売りとしているMVNOですので、そもそもの料金プラン自体もかなり安めに設定されています。
その中でも最大通信速度を200kbpsに絞った低速固定の「ライトプラン」や、通常の通信速度で月1GBのプランなんかはワンコインでお釣りが来る価格設定となっていますので、使い方によってはFREETEL SIMよりも月額料金を下げることが出来るでしょう。
回線もMVNE元がたしかIIJmio(みおふぉん)ですから、通信品質を見ても及第点だと思います。低速固定時でも最初のみ高速通信が利用できるバースト機能が備わっている点もGoodですね。
おまけ・mineoの期間限定キャンペーン
今までの3社とはちょっと異なりますが、mineoでは現在2017年11月9日までの期間限定で大・大盤振る舞いキャンペーンというものが実施されており、docomo網を用いた月500MBの音声通話プランが1年間・月500円で利用可能です。
docomo網ではなくau網を用いる場合は更に安くなって1年間・月410円と、ここまで紹介してきたどのプランよりも安い月額料金で音声通話も利用可能になります。
もちろん高速データ通信容量が500MBに抑えられていますが、mineoにもバースト機能が備わっていますので、いざとなったら極力低速固定通信でやり過ごす運用でもそこまでストレスを感じることなく利用できると思います。
最後に
以前のぷららモバイルに引き続き、今回のFREETELもMVNO業界の中では知名度のあるサービスなだけに、まさかここがサービスを終える/同業他社に事業を吸収されるのかと驚きを禁じ得ません。
※ぷららモバイルの一報:
反面、MVNO事業者もこれからは力のないところから淘汰されていく時代に突入した・・・と捉えることも出来るわけで、最終的にどのMVNO事業者が残るのか・その頃には提供サービスがどのようになっているのか、非常に気になるところです。
今回の買収において、楽天モバイル の合計ユーザー数がMVNO事業者の中で2位相当になるとも言われていますし、今後どのような施策を打ってくるのか注意深く見守っていきましょう。