発表から1日が経過し、ニュースとしての目新しさはなくなってしまいましたが、FREETELの民事再生法申請は非常に驚きでした。
もちろん2か月前の格安sim事業譲渡の一報が出た時点で、こうなる未来はある程度予想できたことかもしれません 。
しかし「思いのほか早かった」印象はあります。
民事再生法・・・つまり破綻したことで、端末サポートなどいくつかのサービスはすでに終了が発表され、こうなってくると「夢のまた夢」と言うべき状態だったSimple 2+の発売はほぼ絶望的でしょう。
※夢の跡:
今回は、FREETELのこの一連の流れを受けまして、では逆に「格安sim」としてMVNO事業を行っている星の数ほどありそうな事業者のうち、今後もある程度は安定して事業を継続できそうな会社は果たしてどこなのか?について考えてみたいと思います。
・・・と言ってはみたものの、ほぼ答えは1つの気もしますが。苦笑
条件1:運営元が盤石
やはり1にも2にもこれしか無いでしょう。
MVNO事業という、かつての牛丼安売り戦争を彷彿とさせるような超・薄利多売事業においては、最終的に体力こそがモノを言うと思います。
現時点で「格安simのみ」で黒字を出せているところは・・・あるのでしょうか?ちょっと具体的な根拠はありませんが、私個人のイメージではまだ純粋に黒字を出せている会社は無いような気がします。
そうなってくると「如何にして赤字額を縮小させ、黒字転換を迎えるまで耐え凌ぐか」が焦点となってくるわけで、運営元の経営状況が盤石であればあるほど赤字補填に回せる費用も大きくなりますから、運営元が大企業であるという条件はMVNO事業者として生き残るうえで重要だと思います。
ただし「MVNOが赤字すぎるから、もうやーめた」となる可能性も秘めていますが。苦笑
IIJ mio
運営会社の正式名称は「株式会社インターネットイニシアティブ」、英語で書くとInternet Initiative Japan Inc.となり、その頭文字からIIJですね。(恐らく)
IIJは今から25年前の1992年に設立された会社であり、長らくネット事業で収益を上げ続けてきた「老舗」と呼べるレベルでしょう。
つまりはネット事業において「何をすればどれだけ収益を上げられるか」「どこに設備投資すれば最大のリターンを得られるか」などの蓄積されたノウハウをある程度つかんでいる可能性が高く、また実際にMVNO事業においても初期の頃から業界を引っ張ってきた存在で会員数も伸びているようですから、今後も生き残れる可能性がかなり高いと考えられます。
そもそもここがMVNEとなって他のMVNOに回線を卸している側面もある以上、ここが潰れたら/撤退したらMVNO界において一大事となりそうな・・・汗
なおIIJ mioは来春(2018年3月頃)に次なる展開「フルMVNO」も予定しているとのことで、右肩上がりの回線数と合わせてまだまだ余裕がある事業者と言えるでしょう。
OCNモバイルONE
こちらもMVNO業界を長らくけん引してきた、老舗中の老舗ですね。
更には運営元がNTTコミュニケーションズということもあって、事業者としては盤石な体制を築いていると言えるでしょう。極端な話、OCNモバイルONEのことを知らなくてもNTTのことを知らない人はほぼ居ないでしょうからね。笑
料金プランもMVNO界で一般的な月○GBのプランだけでなく、1日あたり110MB/170MB(※2017年12月現在)といったプランも用意されているなど、他の事業者との差別化もなされており、ユーザーにとっても選択肢が増えて使いやすい事業者だと思います。
→月額972円(税込)からのLTE「OCN モバイル ONE」
mineo
私も契約中のmineo(マイネオ)は、IIJ mioやOCNモバイルONEに比べると新しい事業者ではありますが、業界では珍しくドコモ網とau網の両方に対応したMVNO事業者です。
また運営元についても、関西電力グループのケイ・オプティコムが運営しており、経営としては他と比較して盤石な部類ではないでしょうか。
sim自体については、他社のような安売り競争からは一歩引いた独自スタンスを取っているため、正直なところ「サブ回線でとにかく安く済ませたい!」みたいな要望のユーザーにとっては物足りないかもしれません(そういうユーザーには例えばDMMモバイルのほうが合っています)が、その堅実なサービス提供具合は3大キャリアからの乗り換え先としてメイン回線で契約する場合にはオススメ出来る事業者です。
条件2:他に収益の軸を持っている事業者
ある意味では条件1と重なるのですが、「MVNO事業だけでなんとかやりくりしている」会社よりも、MVNO事業以外に大きな収益の軸があり、そちらでMVNOの赤字額を補填できるような会社の方が生き残れると思います。
エキサイトモバイル
MVNO界の知名度的にはまだまだ低いエキサイトモバイルですが、エキサイトモバイルを運営しているエキサイト株式会社の強みは、なんと言っても光回線事業やインターネットのプロバイダ事業などといったMVNO以外の収益の軸が存在することでしょう。
また格安simの方も「最適料金プラン」と呼ばれる、今回民事再生法を申請したFREETELのsimカード(正確には「FREETELから楽天モバイルに譲渡されたsimカード」)のような使った分だけを払う料金プランが用意されているなど、他とは一線を画す選択肢が存在します。この料金プランの話については過去に記事を書いていますので、そちらも併せてご覧ください。
※エキサイトモバイル&DTI SIMの話:
私自身、simカードを挿す端末を3台以上所持していれば間違いなく契約すると考えている事業者ですが、現時点ではBlackBerry ClassicとBlackBerry Passportの2台体制であるため、まだご縁がありません。汗
それでもMVNO事業以外で収益を上げられるビジネスプランや、用意されている料金プランからも「FREETEL難民(?)」の受け皿としては十分にオススメできるかと思います。
楽天モバイル
最後は、今回のFREETEL関連の話において一足先にMVNO事業を買収した楽天モバイルです。
楽天モバイルの運営元・楽天株式会社といえば、言わずと知れたインターネット上のショッピングモール「楽天市場」ですよね。今やネットショッピングと言えばAmazon・楽天・Yahoo!ショッピングの三つ巴と言っても過言ではないくらいの市場規模を抱えています。
もちろんMVNO事業の方も、今やシェア1位と言われるほどまでに成長してきていますし、FREETEL SIMのユーザーを取り込んだことで更なる成長の可能性を秘めた事業者だと言えるでしょう。
まとめ
以前のぷららモバイルがサービス終了の一報を出したときにも感じた事ではありますが、もはやMVNO界は成熟期へと突入しており、今後は更に経営体力のない事業者から順に淘汰が進むものと思われます。
※ぷららモバイル終了の一報:
昨今では「MVNO」が市民権を得つつある世の中であり、それに伴ってメイン回線を大手3社からMVNOに移行する人もどんどん出てきています。
ですがスマホが生活において必要不可欠なインフラの一部となった現在では、黎明期のような「とにかくMVNOに移行すれば安く済む」という話だけではなく、今後は自分に合ったプランを提供しており・かつ運営がしっかりしているsimを選ぶことも重要になってくるでしょうね。
ものすごく個人的には、現在利用中の0simが「どこまでサービスとして維持できるのか」が気になります。苦笑